第6章

 二日が経ち、夏希が家を訪ねてきた。

「牧人のこと、聞いたわ」

 夏希の声は優しく、気遣いに満ちていた。

「本を持ってきたの。食べ物の絵が出てこないやつ」

 元木は本来なら、彼女を追い返すべきだった。

 だが、牧人が会いたいと泣いて聞かなかったし、何より元木自身、もう精根尽き果てていたのだ。

「入れよ」

 元木は言った。

「大丈夫?」

 夏希が上がり込んでくる。

「ああ、何ともない」

「ううん、大丈夫じゃないわ」

 彼女は元木の腕に触れた。

「私にはわかるもの」

 元木はその指先から逃れるように身を引く。

「夏希――」

「友里子さんは?」

「二階だ。客間にい...

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