第74章 九条時夜が彼女をよこした

連日苛立っていた心が、ふと凪いだ。

九条時夜の長い指が、デスクを軽やかに叩く。その声音も、いつになく穏やかだった。

「お祖母様、ご安心を。その時は必ず時間通りに戻ります」

『戻らなかったら……戻る?』

九条おばあ様は、彼がこうもあっさり承諾するとは思わなかったらしく、一瞬言葉を詰まらせた。

「おや、本当は帰ってきてほしくないのですか?」

彼の声には微かな笑意が滲み、機嫌の良さが手に取るようにわかった。

『戻らなかったら、足の一本でもへし折ってやるからね!』

通話を終えた九条時夜は、スマートフォンをもてあそびながら、唇に薄い笑みを浮かべた。

「九条社長」

ここ数日...

ログインして続きを読む