第78章 もう一つの罠

秋月雫は物心ついてからこれまで、数え切れないほどの告白を受けてきた。だが、まさか如月海から想いを告げられる日が来るとは、夢にも思わなかった。

彼は帝都大学における時の人だ。成績から容姿に至るまで、すべてが抜きん出ている。

生まれながらにしてピラミッドの頂点に君臨する九条時夜とは違い、彼は一歩一歩、自らの力で這い上がってきた男だ。それゆえに、その身に纏う輝きはいっそう眩しい。

「如月海、私……」

「焦って断らないでくれ」

如月海は彼女が口にしようとした答えを予期していたかのように、手を振って遮った。

「君と九条時夜はまだ離婚していない。今何かを約束させるのは時期尚早だ。ただ、...

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