第83章 私の家に住んで、世話がしやすい

秋月雫は、逃げるように病院を後にした。

だが、正面玄関を出て、放心状態でふらふらと歩き出したその時、腕を掴まれて引き寄せられた。

「どこへ行くつもりだ?」

微かに怒気を孕んだその声に、雫は呆気にとられた。顔を上げると、そこには如月海の姿があった。

普段とは違い、その眉目には明らかな怒りの色が滲んでいる。

「周りも見ずに道路へ飛び出す奴があるか」

その怒りの裏には、隠しきれない心配りが透けて見えた。雫はそこでハッと我に返り、自分がたった今しでかそうとしたことに気づいて、背筋に冷たいものが走った。

動悸を抑え、雫はどうにか自分の声を探り当てた。喉がまだ少し嗄れている。

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