第6章

絵里視点

「悟、後ろ!」

私は力の限り叫んだ。

悟は振り返りもせず、梨乃のこめかみに致死的な肘撃を叩き込んだ。彼女は即座に意識を失い、崩れ落ちる。

すべてはほんの数秒の出来事だった。悟の戦闘技術は、まさしく驚異的だった。

「何だよこいつ...化け物かよ!」和也が恐怖に満ちた目で、やっとのことで立ち上がりながら喘いだ。

「お前を地獄に送るには十分な時間だ」悟は冷たく答え、攻撃を続けた。

倉庫の火は激しく燃え広がり、濃い煙がそこら中に立ち込めていた。私は絶え間なく咳き込み、涙が頬を伝う。悟は和也と梨乃を片付けると、すぐに私のそばへ駆け寄ってきた。

「絵里、来たぞ! しっか...

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