第7章
悟視点
取調室には、鉄製のテーブルと椅子が二脚あるだけだった。冷たい白色の蛍光灯が、部屋全体を無慈悲で冷え冷えとしたものに変えている。俺は椅子に座り、両手をテーブルの上に乗せ、向かいに座るベテランの田中刑事を見ていた。
四十代ほどの男で、鋭い目をしていた――これまで数えきれないほどの犯罪者を見てきた目だ。だが、そんなことはどうでもいい。俺が気にしているのはただ一つ――絵里を守ることだけだ。
「水原崇之」田中は分厚い事件ファイルをめくりながら言った。「最初から話してもらおうか。十年前のあの夜、一体何があった?」
「俺が殺しました」俺は彼の目をまっすぐに見つめ、落ち着いた、しかし確...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章


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