第6章

「なっ……そんな馬鹿な!」

「ご本人からキャンセルの連絡がありました。違約金も支払い済みです」

 亮介は震える手でスマートフォンを取り出し、由紀菜の番号を狂ったように連打した。

『誠に勝手ながら、お掛けになった電話番号は電源が入っていないか……』

 無機質な機械音声が、彼の理性を瞬く間に奪っていく。

 亮介は車を飛ばし、マンションへと急いだ。きっとただの癇癪だ。部屋で俺の説明を待っているに違いない――そう自分に言い聞かせながら。

 だが、ドアを開けた瞬間、その淡い期待は絶望へと変わった。

 リビングには、夏希の荷物――ベビーカーや哺乳瓶、サプリメント――がそのまま残されている。...

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