第百四十二章

「いいか、先に奴に振らせるんだ」レオは指示した。ジェンは呼吸を整えようと必死だったが、言うは易く行うは難し、だ。「ありったけの力で振らせて、それから……」

「動く?」彼女が尋ねると、彼はこくりと頷いた。その顔は険しい。

彼女はアレッシオが倉庫を歩き回り、物見遊山の輩や隠された武器がないか確認するのを見ていた。彼は電話中で、誰かに低い声で話しながら、一分おきくらいに彼女に視線を送ってくる。アレッシオは電話をポケットにしまい、彼女の方へ歩み寄ってきた。彼女は深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。

「時間だ」アレッシオは告げた。

ジェンは素早く頷き、レオの手からバットを受け取った。振り返ると...

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