139話

セレーネ

見知らぬ森で夢は始まった。

その土地は何となく見覚えがあった。雪をかぶった高い山々と、生い茂った常緑樹。雪が地面を覆い、狼の足跡が視界の限り白く清らかな雪面に点々と続いていた。あれは私の足跡かしら?とぼんやり考えながら、私は自分の足元を見下ろした。しかし見てみると、私は人間の姿をしていた。私の白い素足は厚い粉雪に沈み込み、つま先が氷のような雪に丸まっているにもかかわらず、冷たさは全く感じなかった。

私は長い銀色のドレスを着ていて、こんな場所にいるには全く不向きな服装だった。私の手足は凍てつく空気にさらされ、周りに雪片が舞い散る中、それらが私の肌に触れても溶けないことに気づいた。...

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