35話

バスティアン視点

服を取りに戻ると、ジャケットのポケットから電話が鳴っている。衣服から端末を取り出すと、セレネからの不在着信が1件と母からの16件、そして今鳴っている知らない番号からの着信が表示されていた。

崖の上で感じ始めていた不安は、突然、恐ろしいことに、心を引き裂く乗り越えられない亀裂となり、苦悩の嵐へと変わっていた。骨の奥深くから、セレネが今、私を拒絶していると告げていた。

拒絶そのものがこれほど深く私に影響するとは知らなかった。伴侶を失うことが私の存在の限界を試すことになるとは分かっていたが、こんなに距離があっても、その影響がこれほど即座に現れるとは理解していなかった。そして何...

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