42話

セレーネの視点

ルナの旋律的な遠吠えが、バスティエンの狼の呼びかけに応えて高まる。私たち二人だけが聞こえる音だ。私は全力で彼女を抑え込もうとする。ルナ、私は心の中で呻く、やめて!

できないわ!彼女は叫ぶ。彼が私を呼んでいるの。

しっかりして。私は厳しく言う。彼は良い人じゃない、それにリラのことを知られるわけにはいかないの。

これは災難だ。ドレイクが電話をくれた時に警告してくれなかったなんて信じられない。私はバスティエンと対面する準備ができていない。特に私の狼が彼を一目見ただけで我を失っている状態では。

ギャリックから逃げた後もルナは私と共にいたが、彼女は私の心の奥深くに身を隠し、私た...

ログインして続きを読む