90話

バスティアンの視点

私の小さな家族はドレイク・キャバノーの事務所に集まっていた。セリーンと私はエロスのアルファの向かいに座り、リラを二人の膝の間にバランス良く抱きながら、エリュシウムへの出発を告げる準備をしていた。相手が私がセリーンを自分のものにしたと知った時の反応を考えると、何か問題が起きるかと思っていたが、今はそれほど確信が持てない。

誘拐事件の後は何もかも混乱していて、ドレイクがセリーンを見る目つきに注意を払わなかったが、今その違いは明らかだ。以前は私のメイトを片思いの眼差しで見ていたのに、今は友好的な温かさだけで彼女を見ている。

この突然の変化の理由が何となく分かる気がする。私の...

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