第175章

フレイヤ視点

ムーンシャドウ・パックの屋敷に身を切るような風が吹き荒れる中、私はバックパックにまた一組、防寒具を詰め込んでいた。

アレクサンダーが、銀を編み込んだ武器と緊急用品が詰まったタクティカルバッグを手に現れた。

その時だった。近づいてくるエンジンの轟音が聞こえたのは。

「何なんだ?」アレクサンダーは呟き、音のした方へ鋭く顔を向けた。

二台の黒いSUVが、屋敷へと続く曲がりくねった私道を轟音を立てて駆け上がってきた。一台目が止まるか止まらないかのうちに、ケイレブが飛び出してきた。普段は冷静沈着なベータとしての態度は鳴りを潜め、険しい決意の表情を浮かべていた。

「アルファ」彼は...

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