チャプター 19

フレイヤ視点

アレクサンダーに強く腕を引かれ、氷のように冷たい壁に叩きつけられた。アルファの支配的な香りが私を包み込み、私の内なる狼が鋭く警戒態勢に入る。

「わざとやったんだろう?」

「何のことかしら?」私は純真を装い、本能的に湧き上がる恐怖心に抗った。

「とぼけるな」彼の声は低く響き、それは紛れもない威嚇の唸り声だった。

「離して――潰れるわ」身をよじると、彼の手が食い込む肌が焼けるように熱かった。

その言葉で彼は我に返ったようだ。私を解放し、一歩後ろに下がる。私の狼は落ち着きを取り戻したが、彼に触れられた場所がまだ疼いていた。

「アルファ、勘違いしてるわ」私は努めて軽い声を出...

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