チャプター 26

フレイヤ視点

スマホを置いた途端、戸口にミアが現れた。「サイモン・ヒルという方が、募集の件でいらっしゃっています。あなたをご指名です」

私の顔がぱっと明るくなる。「ヒルさん! すぐにお通しして――ううん、私自身が迎えに行くわ」

私が急いで彼を迎えに行くと、ミアは私をこれほど夢中にさせる相手が誰なのか、あからさまな好奇心を浮かべて後をついてきた。

オフィスに戻り、サイモンにお茶を淹れた。彼はコーヒーよりお茶を好むことを覚えていたのだ。

「ヒルさん、このお茶はお口に合いますか?」

サイモンは凍りついたように座り、その目を潤ませた。「お母様そっくりだ」

私はほつれた髪を耳にかける。「誰...

ログインして続きを読む