第五十四章

フレイヤ視点

ようやく家にたどり着いた。ここ数日の中で、一番心が軽かった。

ティファニーや「クラウン&ジェム」との一件が終わり、ようやく息を吹き返したような気分だ。

(やっと翼を広げて、本物を築き上げることができる)

車を私道に入れながら、私はそう思った。

(もう身内の人間に背中を刺される心配をしなくていいんだ)

私はすでに次の手を考えていた。明日の朝一番で、母の元従業員たちに連絡を取ろう。

彼らはジュエリービジネスを表も裏も知り尽くしているし、何より母が築き上げたものを理解してくれている。彼らは母のビジョンに忠実だった。もしかしたら、私が新しい何かを創り出すのを手伝ってくれるか...

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