チャプター 66

フレイヤ視点

「上へ?」アレクサンダーは楽しげに尋ねた。まるで、獲物のように私を追い詰めたばかりではない、とでも言うかのように。

エレベーターに乗り込んでくるアレクサンダーを、私は睨みつけた。二時間前にはゴーストペッパーで死にかけていたはずの人間にしては、腹立たしいほどにすっきりした顔をしている。

「こんにちは、アルファ」私はぶっきらぼうにそう呟き、意図的に拒絶的なフェロモンを放った。

アレクサンダーの金色の瞳が私を捉える。「それを私のために買ってくれたのか?」

彼のフェロモンが、より温かいものへと変わっていくのが感じられた。彼は本気で喜んでいる。

「はっ」と私は皮肉っぽく言った。...

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