チャプター 99

フレイヤ視点

「フレイヤ、お前は……クソッ、たまらなく綺麗だ」

アレクサンダーの声は掠れ、そこにはアルファ狼特有の支配的な響きが混じっていた。

「アレクサンダー、だめ……」私は弱々しく抵抗したが、裏腹に身体の震えが止まらない。

さっきのキスは邪魔が入って中断され、せっかくの雰囲気は台無しになっていた。彼が明らかに発情期(ヒート)にあることは分かっていたけれど、そう簡単に許すつもりはなかったのだ。

アレクサンダーは私の迷いを敏感に察知したのか、唇の端を意地悪く歪めた。

彼は一歩近づき、片手を壁について私の逃げ場を塞ぐと、もう片方の手を腰に回した。「フレイヤ、ただキスしたいだけだ。それ...

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