チャプター 178

ドレイク

「女主人に挨拶もなしか?」俺は片眉を上げた。ジャケットのポケットに手を伸ばしながら、彼女の視線が俺の一挙手一投足を追うのを楽しむ。「それはあまりに失礼だろう。特に、お前は今やムーンライト不動産を代表しているんだからな」

俺は小さな狼のぬいぐるみを取り出した。灰色で、狼の姿のときの俺と同じ琥珀色の目をしている。「ガルシア家の双子にだ。月の儀式の贈り物だよ」

俺がぬいぐるみを彼女の手に押し付けると、その顔に困惑が浮かんだ。指先が触れ合い、彼女が身震いを抑えるのが見えた。その接触で腕に電気が走り、俺は彼女の手首を掴んで引き寄せたい衝動と戦わなければならなかった。

「どうしてこれを私...

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