チャプター 31

エルサ

クラブのフロアをもう一周したが、彼女の姿はどこにも見当たらなかった。体の芯まで響く重低音が、目の奥で始まったズキズキという痛みと同期している。くそっ、あのショットをあんなに急いで飲むんじゃなかった。

また携帯が震え、不器用になった指で慌てて電話に出た。

「エルサ」涙に濡れたソフィアの声が聞こえる。「出させてくれないの……お願い……」

彼女の声に含まれた恐怖が、アルコールの靄を切り裂き、私の血を凍らせた。「すぐ行く」私はそう約束し、番号が振られた部屋の方へ鋭く向き直った。

一一四号室に着くと、中の光景にアルコールで冷えかけた体温とは裏腹に、血が沸騰した。ソフィアがテーブルの端に...

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