チャプター 112

リチャード視点

病院から一歩も出ずに二日が過ぎた。消毒液の鋭い臭いが鼻をつくが、俺は無理やりそれに耐えていた。俺の中の狼が遠吠えを上げたがっている。何かを壊し、元凶を見つけ出し、八つ裂きにしてやりたいという衝動が渦巻く。だが現実の俺は、この座り心地の悪い椅子に身を沈め、浅い呼吸を繰り返すエレナの胸の動きを見つめることしかできなかった。

手元の診断書に並ぶ言葉が、俺の胃をきりきりと締め上げる。「神経系への影響の可能性」「頭部外傷」。俺はそれを何度も読み返していた。「予後不明」という言葉よりも、もっと確実な何かを探し求めて。

看護師が入室し、エレナのバイタルを確認する。彼女は同情的な笑みを向...

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