第13章 私を救って

「もう十一時だというのに、水原葵はまだ帰ってこないわね。どこかで男と遊んでいるんでしょうね」

江口雲上は喉が渇いて階下に水を汲みに行った時、江口綾の声が聞こえてきた。

「所詮田舎者は田舎者よ。世間知らずで、品行方正とは程遠いわ。こんな時間まで帰ってこないなんて、どこかで遊び呆けているに違いないわ!」と江口香織が続けた。

江口雲上は少し戸惑いを感じたが、昨日の水原葵の態度を思い出し、余計な詮索はやめることにした。

どうせ彼女が何をしようと、自分には関係のないことだ。

「雲上、水原葵が一人で品行の悪さを発揮するのはまだしも、噂が広まってあなたの評判に傷がつくのは困るわ。今や多くの人が彼...

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