第15章 見覚えのある女

江口雲上は思わず息を詰まらせ、部屋を出た。

廊下に出たとたん、江口綾とばったり出くわした。ドアの開け閉めの瞬間、江口綾はベッドに横たわる水原葵の姿を目にしてしまった。

「お兄ちゃん、なんで水原葵の部屋から出てきたの?」

江口雲上は無視して、そのまま立ち去った。

江口綾は更に興味をそそられ、「まさか、昨夜からずっと彼女の部屋にいたの?」

朝早くから江口綾のうるさい声に、水原葵はイライラしながら髪をかき上げ、洗面所で身支度を整えた。

自分のことはよく分かっている。昨夜の自分はきっと酷い有様だったに違いない。それを江口雲上に見られてしまうなんて。弱い部分を見せてしまったと思うと、水原葵...

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