第17章 公正に処理する

「社長にお話がありますので」中村玲奈は赤い服の女性を一瞥し、視線をその注目の的である男性へと移した。

白川杏?

水原葵は思い出した。彼女は江口グループ傘下の清光ジュエリーのデザイン部長で、白川家と江口家には何かと縁があり、そのため若くして部長職に就いたという噂だった。

「今、社長に報告中ですが。中村秘書は先着順というものをご存じないのですか?」白川杏は不機嫌そうに言い放った。

江口雲上は背もたれに身を預け、冷ややかな目で水原葵をさっと見遣り、眉を少し寄せた。

この女、今朝用があると電話してきたはずだが。

なぜこんな慌ただしい様子で、しかも中村玲奈に怒鳴られながら連れてこられたのか...

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