第18章 馴染みの味

中村玲奈は拳を握りしめ、非常に不本意そうに水原葵に向かって「ごめんなさい」と言った。

水原葵は相変わらず高慢な態度を保ちながら、からかうように「何て言った？よく聞こえなかったわ」

中村玲奈は仕方なく声を張り上げた。

「ごめんなさい！」

「今後、このような事態が発生しないよう、徹底しろ」江口雲上の冷たい声には威厳が漂っていた。中村玲奈は思わず体を震わせた。

社長室を出た中村玲奈は、水原葵を鋭く睨みつけた。

まさかこの田舎者が自分の想像以上に賢かったとは。今回はうっかり隙を見せてしまい、江口雲上の前で醜態を晒してしまった。

この仇は必ず討つ。今日受けた屈辱は必ず利子をつけて水原葵に...