第23章 謝れ

「あんたが盗んでおきながら、なぜ指輪が水原葵のバッグの中にあったの?」杉山美咲は必死に自分との関係を否定しながら詰問した。

「指輪を持って帰ろうと思っていたんですが、杉山さんがすぐに気付いて警備員に探させたので、慌てて水原さんのバッグに隠してしまったんです」

ウェイターは顔を蒼白にさせながら「どうか許してください。本当に悪気はなかったんです。母が重病で手術代が必要で…一時の出来心でした」

「誰かに指示されたの?」水原葵は眉間にしわを寄せて尋ねた。

「誰にも指示されてません。私が独断で…」ウェイターは声を震わせながら、恐る恐る杉山美咲の方を見つめていた。

杉山美咲は事態が長引くのを恐...

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