第26章 彼女はレオ

水原葵は江口雲上を外に押し出すと、ドアを閉めた。

バタンという音に、江口雲上は腹が立った。

初めて誰かに追い出されたのだ。それも女に。

本来なら彼女の仕事を気にかけようと思っていた。中村レイナを通じてレディファッションのプロジェクトを水原葵に任せ、彼女に成長の機会を与えるつもりだった。

新人の水原葵にとって、こんな大きなプロジェクトを任されるのは大変だろうと分かっていたから、自ら指導しようと決めていたのだ。

今となっては、その必要もなさそうだ。

この女は全く感謝の念もない。

水原葵は江口雲上の考えを知るよしもなかった。もし彼が自分を新人として鍛えようとしていることを知ったら、目...

ログインして続きを読む