第3章 長い間計画された

江口綾の前では完璧に平静を装い、一片の動揺も見せなかったものの、水原葵は朝目覚めた時の光景に本当に衝撃を受けていた。

A市に来たばかりで生活用品も揃っておらず、パジャマさえなかった水原葵は、昨夜レースのブラジャーとショーツだけを身に着けて眠った。

目を覚ますと、一人の男性が自分の胸を枕にしていた。男性の細かいヒゲが白い肌に触れ、チクチクと痛みを感じる。それだけではなく、二人の脚は絡み合い、お互いを強く挟み込んでいた。まるで溺れる者同士が互いに救いを求めるかのように、相手の体を必死に抱きしめ、逃げ場を与えないような状態だった。

何度か身を引こうとしたが失敗し、頬を染めながらも落ち着きを取...

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