第34章 身を捧げる

江口雲上は酔いつぶれて、頭がぼんやりしていた。目を開けると、目の前に立っているのは姿の愛らしい少女で、どこか親しみやすく、懐かしい存在だった。

彼はまるで、一瞬にして十三歳の頃に戻ったかのようだった。

彼と少女は暗い部屋に閉じ込められていた。扉の外には見張りがいて、部屋の中には凶暴な大きな狼犬がいた。

江口雲上は幼い頃から犬が苦手で、少女はいつも彼を抱きしめて守ってくれていた。

「怖がらないで、本当は犬なんて怖くないのよ。怖がれば怖がるほど、あなたをいじめるわ」

暗闇の中、少女の澄んだ大きな瞳がきらきらと輝き、まるで夜空の星のように江口雲上の心を照らしていた。

二人...

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