第4章 料理を出す

朝食の時間。

江口香織、江口雲上、江口綾の三人が既に席に着いていた。

江口家のダイニングテーブルは途方もなく大きく、生き生きとした花の模様が彫られ、金箔の縁取りが施されていた。豪華絢爛なその様式に、真っ白で柔らかいテーブルクロスの上には、様々な形の磁器の皿に盛られた料理が並び、目が眩むほどだった。

水原葵は自分の席の前に立ち、椅子を引いたものの、まだ座っていなかった。彼女の食器には鉄製の蓋が被せられ、開けられるのを待っているようだった。水原葵は江口香織をちらりと見た。正面の主席に座る江口香織は、ナプキンで口を拭いながら、まるで水原葵の存在に気付いていないかのような素振りを見せていた。

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