第40章 一時間で完成するのは不可能だ

「図面を紛失?それどころか白紙に差し替えた?」

江口雲上は水原葵がそんな初歩的なミスを犯すとは思えなかった。彼女の説明を聞きたかった。

しかし、水原葵は何も説明するつもりはないようだった。彼女は表情を崩さず

「その問題はひとまず置いておきましょう」

水原葵は白川杏に視線を向け、尋ねた。

「設計図のバックアップはありますか?」

白川杏の顔にはすぐさま軽蔑の色が浮かんだ。

「水原秘書、私たちジュエリーの設計図が全て手描きだということをご存じないんですか?手描きのものにバックアップなんてあるわけないでしょう?そんな常識もないんですか?」

水原葵は納得したように頷き...

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