第44章 水原葵は一体何者か

江口雲上に連れられて社長オフィスに入った水原葵は、彼に淡々とした視線を向けた。

「何の用?」

江口雲上はソファにきちんと腰掛け、長い脚を軽く組んだ。その細長い指で隣の席を示しながら、「座れ」と言った。

水原葵は訳が分からないまま、少し考えてから江口雲上の隣に腰を下ろした。

「江口雲上、一体何の話?」

江口雲上は薄い唇を少し持ち上げ、落ち着いた澄んだ声で口を開いた。「

今日の件、君が黒幕だな?」

黒幕?

彼は怒っているの?中村玲奈を公の場で暴いた策略を咎めているの?

彼は中村玲奈に未練があるの?私を責めるために呼んだの?

水原葵は顔を横に向け、警戒心を...

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