第49章 まさかお風呂まで手伝うのか

???

「恩を返すって言ったんじゃなかったのか?」江口雲上の表情が少し冷たくなり、軽く咳払いをして口を開いた。

冗談のつもりだったのに、本気にしてるなんて……

水原葵は江口雲上の傷口を見て、少し困ったように「わかったわよ……」と言った。

だって江口雲上が彼女の代わりに刃を受けたんだから。

目の前の女性が不本意そうな様子を見て、江口雲上の瞳の色が沈み、水原葵の手から茶碗と箸を受け取ると、唇の端をわずかに上げて

「冗談だよ。自分でやるから」

水原葵はほっと息をついた。この男、普段は冷たくて高貴な様子なのに、いつからこんな冗談を言うようになったんだろう。

左手はや...

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