第51章 この程度のお金は興味ない

水原葵は顔を上げ、会議室の入り口を見つめた。

入り口に現れたのは江口香織と江口綾だった。

江口香織は四十代を過ぎていたが、自己管理が行き届いており、今なお艶やかさを保っていた。彼女は紫色のチャイナドレスを身にまとい、それが全身に気品と優雅さを漂わせていた。

しかし今、江口香織の表情は怒りに満ちていた。

江口雲上が昨夜帰宅せず、江口綾は朝早くに朝食を作って江口雲上に届けに行ったが、目を赤く腫らして戻ってきたのだ。

江口綾は江口香織に泣きながら訴えた。朝食を届けに行ったところ、水原葵に突き飛ばされて地面に倒れ、朝食はすべてひっくり返り、水原葵からひどい言葉を浴びせられたと。...

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