第52章 水原葵は彼に興味ない

江口雲上、私、水原葵は興味ない」

先ほどの水原葵のツンデレな声が、江口雲上の耳に何度も響いていた。

水原葵が彼を眼中に入れていない？

なぜだ？彼のどこが悪いというのか？

江口雲上の顔が曇った。生まれてこのかた、彼はずっと天才児として、高みにいる存在だった。人に見下されるという挫折感を味わうのは初めてだった。

これまでは、いつも彼が人を見下す側だったのに、今は逆に見下されるなんて……

江口雲上が暗い表情で目の前に立っているのを見て、水原葵は不思議そうに尋ねた。

「江口雲上、家にいるんじゃなかったの？どうして急に来たの？」

江口雲上が口を開く前に、江口綾が先に悪...