第10章
栞奈視点
二ヶ月後、新桜地方裁判所。
私はダークブルーのビジネススーツに身を包み、優子、彩良、香織、亜美、そして他の被害者たちと並んで原告席に座っていた。法廷は報道陣で埋め尽くされ、無数に焚かれるカメラのフラッシュが室内を白く染め上げる。この裁判の模様は、全国に生中継されていた。
ついに、この瞬間が来たのだ。
被告席に座る高峰哲也は、まるで生気のない抜け殻のようだった。スーツには皺が寄り、髪は乱れ、目の下には濃い隈が刻まれている。ここ何日も、ろくに眠れていないのは明らかだった。不意に絡んだ彼の視線には、深い恐怖と後悔の色が滲んでいた。
『よく見て、哲也。あなたがその手で壊...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
縮小
拡大
