忘れられた熱

サイラス

俺のファイアボールがここにいれば、デイモンとセインとの帰り道ももっと楽しいだろうに。デイモンが運転する後部座席で、俺はだらしなく寝そべっている。セインのほうは、たぶんアイラとマインドリンクで妄想を繰り広げているんだろう。退屈と嫉妬に駆られ、俺はスマホを取り出した。自分の番《つがい》に、俺がまだここにいることを思い出させるために。

<俺:俺のファイアボールは今日何してる?>

<ファイアボール:あなたには関係ないことでしょうけど、たった今ヒート・クリニックを出たところよ。>

俺はシートから飛び起きた。体勢を整えようとして、デイモンの後頭部を足で蹴飛ばしてしまう。「おい、何しやがる...

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