本物だった

サイラス

「だが、俺は嘆いたりしないし、運命を呪ったりもしない。そんなことをしても無駄だし、どうでもいいからだ。一番に選ばれなかったことなんて、俺には関係ない。レイヴン、お前は壊れてなんかいないんだ」

ファイアボールは嗚咽し始め、手の甲で口元を覆った。とめどなく涙が溢れる中、俺と目を合わせまいとするように彼女は顔を仰け反らせる。

「お前には何一つ悪いところなんてない。酷い目に遭っただけだ。だが、お前はそこから抜け出した。俺がお前を救い出したんだ。何度だってそうする。お前をこんな目に遭わせた奴らなんてクソ食らえだ。準備ができたら、お前を売ったアルファの首も、お前を拒絶した奴の首も、俺が必ず...

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