始めたばかり。

サイラス視点

「着信は13時、発信元は使い捨て携帯だ。追跡中だが、時間が……」

作戦室のドアが勢いよく開き、タイラーの言葉が遮られる。入ってきたのは、俺の愛する赤毛の死の女神だ。本を抱え、ただならぬ決意を漂わせている。デイモン、セイン、そして俺は呆気にとられて見守るしかない。セインに視線を送るが、彼は上の空だ。おそらくアイラとマインドリンクで繋がって、彼女の無事を確認しているんだろう。

地図や写真が散乱するテーブルから俺は立ち上がった。レイヴンが近づいてくる。その表情には固い決意が滲んでいた。

「何をしてるんだ?」

会議の最中に彼女が乗り込んでくるなんて予想外だ。隠し事があるわけじゃ...

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