忘れずに切ってください。

レイヴン

「こんな情けないクソみたいな光景、生まれてこのかた見たことないわ。まともなパンチも打てない力で、どうやってピクルスの瓶の蓋を開けるつもり? 筋肉はどこについてるの?」

アイラがシフター用のマネキン相手にパンチを繰り出すのを見てるのは、面白いと言えば面白い。彼女がルナでさえなければ。その肩書きのせいで、彼女のパンチは恐ろしいものになる。常に標的とされる存在なのだから。

「私の筋肉なら、今こっちに向かってるところよ!」アイラはぷりぷりしながら、手をぶんぶん振った。

「親指を中に握り込むのはやめなさい。体重を腰と肩に乗せる。足は前後に開く。殴られたときにバランスを崩したくないでしょ」...

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