ブラッドムーン

セイン

「コード・ブラッドムーン!」

俺は叫び、同時に念話でオフィスへの扉に駆け寄りながら、周囲の質問をかき消す。椅子がひっくり返る音や、背後を駆け出す足音が聞こえる。俺がそのコードを群れ全体に念話で送ると、メンバーは一人残らずその意味と、何をすべきかを理解している。

ルナが攫われた。

群れはその光を失った。

血が流れるだろう。

『コード・ブラッドムーン……コード・ブラッドムーン……シャドウ・ウルフはエリック・グレイハートだ。繰り返す、シャドウ・ウルフはエリック・グレイハートだ』

俺は再び群れに念話を送る。闇に潜み、衆人環視の中で姿を隠していた裏切り者が、我々のクソったれな筆頭ヒ...

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