運命か敵か

セイン視点

部屋で完全に錯乱状態に陥っていたアイラを見つけた時の衝撃は、言葉にできないほどだった。その原因が俺にあるとサイラスにほのめかされるのは、あまりに耐え難いことだ。

「エリックを部屋に戻して、俺たちはオフィスで話の続きをしよう。手の空いている部下全員に通りを回らせて、その狼を探させるんだ」

もし奴が彼女の『番(つがい)』だとしたら、俺はどう反応すればいいのか皆目見当もつかない。あの『小さな狼』から身を引いたのは俺自身だ。彼女のためを思ってのことだったが、それが間違いなく辛い決断だったことに変わりはない。俺が身を引いたことで、彼女の番が引き寄せられたのかもしれない。運命というのは、...

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