これはありえない

アイラ

私、正気じゃないのかしら? この襲撃に参加するなんて、自ら危険に飛び込むようなものだ。命を危険にさらし、群れの統率を危うくし、完全に精神が崩壊するリスクまで冒して。でも、体の内側で何かが脈打っている。セインと共に行かなければいけない、と。

守るために。

それを私の狼の本能と呼ぶか、狂気と呼ぶか。私は今、図書室でミッドナイト・パックの古文書を片っ端から調べているけれど、白狼に関する記述は何も見つからない。昔、自分たちの血統についてぼんやりと学んだ記憶はある。でも両親は、姉と私が選ばれし狼になるなんて微塵も考えていなかったから、そのことについてはほとんど教えてくれなかった。どこかに情...

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