第16章 あなたの借りだ

銀砂インターナショナル、社長室。

藤原時は床から天井まで続く窓の前に立ち、足下に広がる都市を見下ろしていた。雨が窓ガラスを打ち付け、外の景色をぼんやりと霞ませていた。

「藤原社長、たった今情報が入りました。安田さんが藤原辰から千万円を…『借用』したそうです」南崎陽が彼の背後に立ち、最新の状況を報告した。

「ほう?」藤原時は身を翻し、眉を少し持ち上げた。「なかなかやるじゃないか」

南崎陽はためらいつつも、やはり口を開かずにはいられなかった。「藤原社長、本当に…安田さんのことを気にかけていないのですか?こんなことをして、もしかしたら…」

「もしかしたら何だ?」藤原時は彼の言葉を遮り、淡...

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