第18章 叔父さん、辛い

その危機一髪の時、個室のドアが突然、誰かに蹴り飛ばされた。

「ドン!」という大きな音と共に、ドアが壁に激しくぶつかり、耳をつんざくような音を立てた。

藤原時の大きな影がドア口に現れた。黒いスーツに身を包み、全身から冷たい気配を発していた。

彼は一目で個室内の状況を把握すると、表情が一瞬で険しくなった。大股で安田美香の側に歩み寄り、彼女を背後に庇った。

「大丈夫か?怪我はないか?」

安田美香は首を横に振った。「平気です」

藤原時は振り向き、冷ややかな目で田中栄威を見た。

田中栄威は呆然としていた。藤原時の冷酷な顔を見て、ようやく状況を理解した。

目の前のこの男は、藤原時!

藤...

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