第38章 お見合いを防ぐのを手伝って

藤原時は何も言わず、ただ冷ややかな目で両親を一瞥してから、書斎を後にした。

部屋に戻った藤原時は、重たいアルバムを机の上に投げつけた。「ドン」という鈍い音が響く。

いらだたしくネクタイを緩めながら、頭の中は安田美香の姿でいっぱいだった。

彼は携帯を取り出し、ある番号に電話をかけた。

「白川明、頼みがある」

藤原時の声は低く冷たかった。「三日以内に、戸川楠をA市から完全に消せ」

電話の向こうで、白川明は驚いた声で言った。「藤原社長、戸川家は藤原家には及ばないとはいえ、A市ではそれなりの家柄ですよ。これは一体...」

「言った通りにしろ」藤原時は彼の言葉を遮った。「それと、この件は...

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