第9章 腰に巻く

「……離せ!」戸川楠は必死に抵抗した。

「離してほしいの?いいわよ」安田美香は意地の悪い笑みを浮かべると、突然手を放した。戸川楠は心の準備ができておらず、お尻から地面に落ちた。

「あっ!腰が!」戸川楠は痛みに声を上げた。

安田美香は見下ろすように彼女を見つめ、目には侮蔑の色が浮かんでいた。「覚えておきなさい。これからは藤原時に近づかないこと!さもないと、次は平手打ちだけじゃ済まないわよ!」

そう言うと、安田美香は手についた埃を払い、トイレから出て行った。

戸川楠と彼女の友人だけが、恐怖に震えながら床に座り込んだままだった。

安田美香は車に戻り、おとなしく座った。

車はゆっくりと...

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