第11章

富士山人類館の中央ホール。巨大なフェロモン・スクリーンに、特殊な映像が流されている。それは人間のつがいの様子を映したもので、虫族が新たな人類繁殖計画を刺激するために特別に選び出したものだった。

私は展示台の上に立ち、その映像を強制的に見せられていた。

画面の中では、木村健が無表情で演技に協力し、中村誠は研究室で様々な電極に繋がれ、その瞳は虚ろだった。宮城美穂は畳の上に正座し、手首に無数の注射痕を残したまま、機械的に茶道の所作を繰り返している。

涙が、堪えようもなく目尻から滑り落ちた。かつてはあれほど生き生きとしていた同級生たちが、今や虫族の展覧館における生体標本となり、最低限の...

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