第9章

延期されていた繁殖計画が再開される。

冷たい虫族の手が私の肩に置かれ、桜で飾られた計量室へと連れて行かれた。

体重、腰回り、胸囲が詳細に記録されると、水晶の触角飾りをつけた医療担当者が触角を微かに震わせ、他の虫族に何らかの情報を伝達しているようだった。

「展示品、状態良好。遺伝子配合基準に適合」

そいつは、硬い日本語で言った。

桜が散りばめられた和室に案内される。畳の上には桃色の花びらが舞い落ち、空気は淡い桜の香りに満ちていた。

顔を上げると、部屋の向こう側に座っている新川修司の姿が目に入った。

彼は簡素な浴衣を身に着け、最後に会った時よりもずっと痩せているように...

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