第8章

翌日、一行は帰路についた。

「私、助手席に座る!」

石田かずみが高らかに宣言しながら、西崎志宝の車のドアを開けた。そして、さも当然といった様子で助手席に滑り込む。

西崎は、表情ひとつ変えずに彼女を一瞥した。

「降りろ」

石田の笑顔が、顔に張り付いたまま固まる。

「え? どうして? 昨日もここに座ったじゃない」

「水原、お前が助手席だ」

西崎は石田の抗議を完全に無視し、杏奈に直接指示を下した。

「ナビを頼む」

杏奈はその場で凍りついた。昨夜の気まずい光景が、まだ脳裏に焼き付いている。彼女は助けを求めるように、無意識に葉川に視線を向けたが、彼は自分の車に寄りかかっ...

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